フレキソ印刷の得意分野は... (1998年6月3日)

日本で一般的に「印刷」と言えば「オフセット印刷」になるのでしょうが、他にもグラビア印刷、シルクスクリーン印刷など、いくつかの印刷の方式があります。それぞれに得意不得意があるでしょうが、あえて他の方式と比較したときの「フレキソ印刷」の特徴をあげると、
1. 印刷対象物が多少ザラザラしていても、版が柔らかいので印刷できる。
2. オフセット印刷より、濃度の高い、力強い印刷ができる。
3. グラビア印刷と比較して、文字や線がシャープで、ガザガザしていない。
4. 水性のインキが使える。またUVインキのような、完全脱溶剤型インキが使える。
などになるのでしょう。
よって、被印刷物としては、次のようなものがあります。
1. 段ボール...段ボールは一般的に、3枚もしくは5枚の紙を貼り合わせて、板のような形になったものです。この表面に何らかの印刷を行ない、切り目や折り目を入れ、場合によってはのり付けして、いわゆる「段ボール箱」は作られます。段ボールに使用される紙は、ほとんどが再生紙で、かつ表面加工(塗工等)がされていません。よって比較的ザラザラしています。また、御存じのような形の貼り合わせの紙であるため、表面がデコボコしています。まるで昔の洗濯板(洗い桶の中でゴシゴシ服などを洗ってたやつです!)のようなので、ギョーカイでは、ウオッシュボード(Wash Board)と呼びます。
この段ボールに、もしオフセット印刷したら、印刷はかすれてしまうでしょう。かすれないように紙を押さえ込むと、段ボールを潰してしまい、箱としての強度が保てません。これがグラビア印刷でも同じことが言えます。またシルクスクリーン印刷では、印刷は可能です。しかし生産速度が非常に遅く、とても値段の高い箱になってしまうでしょう。
2. ラベル...とても小さな面積の中に、色々な情報を詰め込むのがラベル印刷の特徴です。印刷濃度が高く、力強くて読みやすい印刷が必要となります。また、版が安いことも重要です。フレキソ印刷が得意な分野でしょう。
3. ショッピングバッグなどの袋ものの印刷...大きくわけて「紙袋」と「プラスチックバッグ」があります。紙袋は、無漂白紙やノンコート紙への印刷にはフレキソがうってつけで、力強い印刷ができ、グラビアに比べ版が安いのが特徴です。プラスチックバッグの印刷では、日本はグラビア印刷の独断場の感がありますが、一部フレキソ化(=水性インキ化)されているようです。おむつや生理用品などのパッケージは、フレキソ印刷が増えています。

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